スプラッターハウス ’89年 ナムコ
操作は1レバー2ボタン。アタックボタンとジャンプボタン。
名前からわかる通り、ホラーを題材にしたゲームである。
[スパルタンX]タイプの、横スクロールアクション。
ベースになっているのは、あの「13日の金曜日」で、
その他のホラー映画の要素があちこちに散りばめられている。
かといって、最近の「バイオハザード」のようなリアル指向とは
また違うのである。
血の表現はあまり無く、敵も「モンスター」タイプの姿で、
倒すと緑色の体組織を流して、またはそのまま消滅する。
過激な暴力表現を控えた効果だと思われる。
怖いモノ嫌いなわたしだが、なぜかこのゲームはやっていけた。
先が気になる展開、ストーリー、適度な難易度。
実にうまいバランスでそれらがミックスされていたからだろう。
ナムコらしい丁寧なゲームだと今でも思うのである。
* * *
ストーリーは
「とある嵐の夜、古い洋館に雨宿りのため立ち寄った
「リック」とその恋人「ジェニファー」。
しかしその館は、モンスターの徘徊する
恐ろしい『スプラッターハウス』であった。
ジェニファーは連れ去られ、
リックはモンスターに打ちのめされてしまう。
そして倒れたリックの顔に、古代の精霊が宿る
『ヘルマスク』が貼り付いた。
あらゆる力を増幅させる伝説の仮面・・・
いまそれが、リックに勇気と力を与えた。
リックはジェニファーを助け出し
この忌まわしい館から脱出するため
立ち上がった・・・」
というものである。
* * *
まあ、ストーリーとしては定番のものであるように見える。
敵もいろいろなものがあり、
ゾンビや巨大吸血ヒル、ウォーターデッド、ポルターガイスト
両手がチェーンソーのピギーマン。
鏡の間で、鏡から現れるミラーリック、
礼拝堂ではイビルクロス(邪悪の象徴の逆さ十字架)が現れ
絵画からも亡霊が抜け出てくる。
ホラーファンにはたまらない、コワイもの嫌いな人には
とんでもない演出がたくさんあるのだ。
しかし、このストーリーは途中で意外な展開となる。
ネタバレになるのだが、以下ににそのストーリーを示す。
* * *
ジェニファーとは、ステージ5で再会する。
しかし時すでに遅く
ジェニファーはモンスターにとりつかれていた。
異形の姿となり、リックに襲いかかる。
時折、自我を取り戻し、「help me...」と訴えるジェニファー。
だがその願いもむなしく
リックはジェニファーを打ち倒してしまう。
倒れるジェニファーに駆け寄り、彼女をだきおこすリック。
しかし彼女は、もう人の姿を保つことはできなかった。
「thank you. good-bye...」と言い残して
リックの腕の中から霧のように消えていった・・・
* * *
どうです。普通のアクションゲームのストーリーなら
彼女は助かっていたはず。
そうじゃなかった。
悲惨な展開であった。
こんなゲームストーリーは、わたしはそれまで体験したことは
なかった。
なんとしても仇を打つ。
最終ボスを倒してやる。
そんな思いが頭をよぎっていったのである。
さてこの後リックは、モンスターが生み出されている
「胎内洞」へ向かうことになる。
モンスターの卵が現れ、胎児のようなモンスターが
リックをエサにしようと飛びかかってくる。
ひたすらモンスターを振り払い、歩みを進めると
その奥には「胎内洞」の心臓部がある。
さらに総攻撃をかけてくるモンスター。
何とか心臓部に攻撃をたたき込み、
それを破壊すると、次は最終ステージ。
心臓部を破壊され、館は自らを維持できなくなり
炎に包まれている。
燃えさかる林の中をくぐりぬけ、
導かれるようにしてたどり着いた場所には
小さな墓があった。
その瞬間、仮面から邪悪な魂が抜けだし
墓の中へ吸い込まれていく。
地響きが起こり、墓から見るもおぞましい姿をしたものが
現れた。
映画「13日の金曜日」を見た人にならわかるだろう。
スキンヘッドで目玉がギョロつき、頬から下が溶けてただれたように
歯ぐき全体があらわになって、口裂け状態の大きな顔。
最終ボス「ヘルカオス」である。
・・・実に恥ずかしい話であるが、わたしは初めてこのキャラを
見た瞬間、気分が悪くなってしまったのだ。
元々恐いものが苦手なわたし、ホラー映画の代名詞のような
顔を見た途端、レバーを持つ手の力が抜けてしまい、
その場にいた友人にプレイを代わってもらったくらいだった。
かくして初対面では見事に敗退。
しかし、ここでめげては「アクションゲーマー」の名がすたる。
後日再選を試み、数回後見事に「ヘルカオス」を打ち倒した。
初プレイから約1ヶ月後の話である。
そうして迎えたエンディング。
燃え尽きるスプラッターハウスを後ろに、仁王立ちのリック。
災いの元凶「ヘルカオス」を倒したため、彼の顔に貼り付いていた
「ヘルマスク」が砕け散った。
寂しげな音楽が流れ、スタッフロールがゆっくりと流れる・・・
感無量だった。ゲームをクリアするとはこういうことか、
とこの時つくづく思った。
この時わたしは高校1年。
この時から、ゲームはクリアしてナンボのものだと思うように
なったと、今にして思う。
* * *
ちなみに、エンディングでスタッフロールが終わったあと
さらにスクロールが上に流れていく。
何が出てくるかと思っていると
そこには砕け散った「ヘルマスク」。
スクロールが止まったその時、突然その破片が集まり
ドォォォォン!!!
という音とともに「ヘルマスク」が元に戻る!
そして不気味な低い声で、高笑いが何度か聞こえてくる。
そして打たれるエンドマーク。
・・・ホラー映画の定番の終わりかたである。
そしてこのあと、このゲームでハイスコアをめざすようになった。
その話は、また次回。
家庭用への移植
PCエンジンに移植されている。
移植度はかなり高いが、さらに表現がソフトになっている。
もし、このレビューを見てプレイしたくなった方がいれば、
これの入手をお勧めする。比較的安い。
また、メガドライブで
続編の「スプラッターハウスpart2」「スプラッターハウスpart3」
が、オリジナル作品として発売されている。
ファミコンにも
「スプラッターハウス〜わんぱくグラフィティ〜」
としてアレンジ移植がなされている。
こちらは本編と毛色がまったく違い、コミカルな路線の
アクションゲームとなっている。
ハイスコアへの道(準備中)
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